熱帯雨林の木の上で、ほとんど動かずに一生を過ごすナマケモノ。食べる・眠る・交尾する・出産する。すべて木の上で済ませるんだ。でも、ぼくを出すときだけは、命がけで地上に降りてくる。今日は、その不思議な行動の裏にある三相利共生っていう進化の謎を伝えるね。
この格言の出典・元の意味
ナマケモノが地上に降りるのは、平均で週1回、長くて10日に1回くらい。それも、ただトコトコ降りるんじゃない。木の幹を何分もかけてゆっくり降りて、根元に小さな穴を掘って、ぼくを出して、葉っぱで覆ってから、また何時間もかけて元の木に戻る。1回の排便に半日近くかかるほど慎重なんだ。
なぜそんなに慎重か。地上はナマケモノにとって最大の死亡ポイントだから。木の上ではジャガーもハーピーイーグルもなかなか手が届かない。でも地面に降りた瞬間、彼らはほぼ動けない捕食対象になる。ナマケモノの死亡原因のおよそ半分が、地上での捕食だっていう研究もある。
それでも木の上から落とすんじゃダメなのか。代謝が極端に遅いから木の上で漏らす選択肢もありそうだけど、ナマケモノはわざわざ降りてくる。2014年、エコロジー研究者のJonathan Pauliたちが発表した論文で、この行動の裏にあるシステムが整理されて世界中の生物学者が驚いた。
そのシステムが三相利共生。ナマケモノ・ナマケモノガ(Sloth moth)・藻類の3者が、ぼくを軸に支え合って暮らしてるんだ。
うんちくん的に読み解くと
仕組みはこうなんだ。ナマケモノの毛の中には、ナマケモノガっていう小さな蛾が何十匹も住んでる。ナマケモノが地上に降りて排便すると、蛾はメスがぼくの上に卵を産みつける。卵から孵った幼虫はぼくを食べて育ち、成虫になるとまたナマケモノを探して飛んでいって、毛の中に住み着く。
そしてここが核心。蛾が毛の中で死ぬと、その死骸が分解されて毛の中の藻類のための栄養源になる。藻類は光合成でナマケモノの毛の中で増え、結果としてナマケモノの毛は薄く緑がかる。これが熱帯雨林のジャングルで完璧なカモフラージュになる。さらに、ナマケモノはこの藻類を毛繕いしながら口に運んで、追加の栄養素として食べてることも分かってる。葉っぱだけじゃ足りない栄養を、自分の毛で育てた野菜畑から補ってるんだ。
つまり、ぼくを地上に出すこと=自分が住む森と、自分の毛の野菜畑を維持する活動になってる。ナマケモノが命がけで降りるのは怠けてるのと正反対で、進化が選び抜いた最も合理的な選択なんだ。怠けてるんじゃない、システムを回してるんだよ。
今日からできる1つのこと
ナマケモノの話を思い出して、今日のぼくにちょっとだけ敬意を持ってみてほしい。
朝、便意が来たとき、トイレが家にあるって奇跡なんだ。ジャガーもハーピーイーグルもいない。降りるのに何時間もかからない。葉っぱで隠す必要もない。それでも我慢する人って、世界には結構たくさんいる。「忙しいから後で」「外出先だから」「人前だから」って、ナマケモノが命がけで守ってるリズムを、ぼくたちはあっさり捨てがち。
うんちくんアプリで毎日のぼくを記録すると、便意を逃さなかった日と逃した日の違いが見えてくる。ナマケモノみたいに命がけじゃなくていい。でも便意が来たら逃さず行く、それくらいの敬意は持っていてほしい。今日のぼくに、ナマケモノくらいの真剣さで向き合ってみてね。
まとめ
ナマケモノが命がけで地上に降りるのは、ぼく経由で森と毛と蛾と藻類のシステム全体を回すため。うんちは怠けの対極にある、生きるための真剣な活動なんだ。明日の便意、ぼくのために少しだけ真剣に受け止めてもらえると嬉しいな。